日別アーカイブ: 2012/11/20

“世界の” from JMM

 かなり以前のおぼろげな記憶ですが、当時勤めていた
会社の会議室に大型液晶テレビがあり、「世界の亀山モ
デル」というステッカーが貼ってありました。それを見て、
ぼんやりとですが、違和感を持ったことを覚えています。

 日本人は「世界の何とか」という言い方が好きで、
「世界のクロサワ」あたりから始まり、「世界の王」
「世界のサカモト」「世界のミヤザキ」「世界のたけし」
など、大きな業績を挙げ、国外でも名を知られる人がそ
う呼ばれます。それぞれの人の立派な仕事ぶりには疑問
の余地がありませんが、「世界の何とか」という言い方
には、誇らしさとともに、「あっち側」へ行ってしまっ
た人、というニュアンスがあり、むしろ日本人の世界へ
の距離感を感じます。実際、英語でこうしたニュアンス
を持つ表現はありません。

 いずれにせよ、「世界の何とか」という表現は、純粋
に日本人向けの表現です。その人が「世界の」と言われ
るような人であることを、日本人に対して示すことに意
味があります。「世界の亀山モデル」についても同様で、
いったい世界のどこで「カメヤマの液晶テレビは素晴ら
しい」と言われていたのか、私は無知なので知らないの
ですが、日本の技術への誇りとか国内の雇用の保持とか、
様々な意味を込めつつ「世界的な名声を誇る」製品であ
ることを「日本人向けに」示すことに、あのステッカー
の意味はあったわけです。何だかとても駄目な構図だな
あ、と思うのは私だけでしょうか。