村上龍」タグアーカイブ

from JMM

キレのない村上龍。

 キューバイベントが続いている間も、習慣となっ
ているので、寝る前に韓流ドラマを見ましたが、奇
妙な違和感を持ちました。
 わたしが見ているのは、韓流ドラマ特有の、女と
女のドロドロの復讐劇ですが、全身にキューバ音楽
を浴びたあとだと、「なぜこんなばかげた復讐をや
る羽目になったのだろう。人生には楽しいことがい
っぱいあるのにもっと他の解決法があるのではない
だろうか」などと思ってしまうのです。

韓流ドラマって何ですか。

JMMより

warhol

村上龍さんが相撲についてコメント。

 呼び出しと行司は
(中略)
あれだけの人数が必要なのだろうかと思ったり
しましたが、省力化とか効率化とは無縁の世界
があってもいいのかも知れません。

 相撲界の「浄化」「健全化」がいつも話題になり
ますが
(中略)
現代的な改革と変化を求めるのは簡単ではない
だろうという感慨を持ちました。

根本的に無関心な感じは変わらないが、昔に比
べて言い方がかなり丸くなった。

良い村上龍 from JMM

最近、「いいところを探す」ということを考えています。

きっかけは、以前ニューヨーク・タイムスに総選挙の結果について寄稿したとき
でした。政権交代が起こっても人々の表情は冴えないが、それは政府がすべて
を解決してくれないことを理解しつつあるからだ、という主旨のエッセイを書いて、
最後に、ポジティブなことを付け加えなければいけないと思いました。海外のメデ
ィアに日本のことを書くときや、インタビューを受けるときは、わたしはポジティブ
な要素を強調して伝えることにしています。

批判はしますが、海外メディアに向かって日本の悪口は言いたくないのです。そ
れは家族の悪口を外部に向かって言うのに似ています。そんなひどい状態の日
本に対してあなたはどうコミットしているのか、と質問されたら返答できません。
ずいぶん前ですが、フランスのテレビに生出演したときに、あなたの作品は退廃
的な風俗を描いたものが多いが日本社会は本当にこんなに堕落しているのか、
と聞かれて、堕落した部分がまったくない社会は存在しないし、現在日本は高度
成長後の新しい価値観を見出しつつあるところであり、多少の混乱はあるにして
も、雌伏の期間を経て、やがて世界をリードする国に生まれ変わるはずだ、という
ようなことを答えました。

さすがに照れ臭かったし、このままゆっくり衰退していくんだろうなと心の底では
思っていたのですが、そんなことは言いませんでした。ニューヨークタイムスのエッ
セイでも、最後に、「日本は子どもが大人になるときの憂うつを味わっている」と書
きました。「いいところを探す」というテーマに気づいたのはそのときです。日本の
いいところを探すということではなく、もう少し小さな共同体、つまり家族や友人た
ちや住んでいる街など、急には変化させることができない場所や人間関係につい
ては、「悪いところを見直す」ことも大事ですが、いいところを探す努力を払わないと
ポジティブに生きることがむずかしくなる気がしました。悪いところに目をつぶるとい
う意味ではありません。あくまで、「いいところを探す」のです。

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