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“世界の” from JMM

 かなり以前のおぼろげな記憶ですが、当時勤めていた
会社の会議室に大型液晶テレビがあり、「世界の亀山モ
デル」というステッカーが貼ってありました。それを見て、
ぼんやりとですが、違和感を持ったことを覚えています。

 日本人は「世界の何とか」という言い方が好きで、
「世界のクロサワ」あたりから始まり、「世界の王」
「世界のサカモト」「世界のミヤザキ」「世界のたけし」
など、大きな業績を挙げ、国外でも名を知られる人がそ
う呼ばれます。それぞれの人の立派な仕事ぶりには疑問
の余地がありませんが、「世界の何とか」という言い方
には、誇らしさとともに、「あっち側」へ行ってしまっ
た人、というニュアンスがあり、むしろ日本人の世界へ
の距離感を感じます。実際、英語でこうしたニュアンス
を持つ表現はありません。

 いずれにせよ、「世界の何とか」という表現は、純粋
に日本人向けの表現です。その人が「世界の」と言われ
るような人であることを、日本人に対して示すことに意
味があります。「世界の亀山モデル」についても同様で、
いったい世界のどこで「カメヤマの液晶テレビは素晴ら
しい」と言われていたのか、私は無知なので知らないの
ですが、日本の技術への誇りとか国内の雇用の保持とか、
様々な意味を込めつつ「世界的な名声を誇る」製品であ
ることを「日本人向けに」示すことに、あのステッカー
の意味はあったわけです。何だかとても駄目な構図だな
あ、と思うのは私だけでしょうか。

from JMM

TPPを導入した場合の経済格差拡大について、三ツ谷誠さ
んの考え方が私と近い。

ちょっと長いが引用。

=======引用開始=======

 例えになるかどうか分かりませんが、ビジネスクラスやフ
ァーストクラスを利用して各地の一流レストランで食事を楽
しむ豪華旅行の豊かさではないけれど、とりあえず格安チ
ケットで同じローマ、同じパリを廻り、最低限シャワー付き
で安全の確保された部屋に泊まり、その地その地で同じマ
クドナルドを食べたような世界旅行はかなり多くの人々に
確保された世界、そんな世界、そんな豊かさでしょうか。

 かなりの程度でその豊かさは確保できている世界におけ
る「経済的格差」を問題にする必要がどこにあるのか、よく
分かりません。

 人間性を歪める貧困の根絶は何より必要でしょうし、理想
的には最低限の教育や機会がこの世界に生を享けた全て
の人に与えられ、その一人一人の意思が政治に反映する
回路が担保された世界(現代日本はもう十分にそんな世界
だと私は思いますが)、その建設に逆行する試みは阻止さ
れて然るべきだと思いますが、豊かさの中での相対的な経
済格差の拡大については、どうしてそれが問題なのでしょ
うか?

 六本木の高層マンションに住んで、セレブ(笑)な友人・知
人たちとしばしばパーティを開き、自家用ジェットで南の島に
モデルの彼女と遊びに行く生活。例えばそれが格差の中で
の「勝ち組」の生活、極北なのだ、として、本当にそれを羨ま
しいと誰が思うのでしょうか?

 ずっと以前にも書きましたが、そのマンションを遥か地上の
小さなアパートから仰ぎ見ていても、何かしら自分のテーマ
を持って、岩波文庫の古典に読み耽る若者がいたとしたら
(初老の男でも構いません)、「勝ち組」の男とその若者のど
ちらが本当の意味で豊かなのか分かりません。それは誰に
も分からないし、決められない事項ではないかと考えます
(私は個人的には岩波派ですが)。

 ただ問題は、その若者(初老の男でも構いません)に対し
て、六本木の「勝ち組」が、何らかの形で彼が読みたいと切
望する岩波文庫を取り上げる権力を持っているかどうか、確
かにそこには存在すると思いますが、「僕が僕であること」
「僕が僕になろうとすること」を、強制力を持って止める権力
は、ありがたいことに現在の日本には存在しないように感じ
ます(寧ろ、社会も政府も「君が君であるように、頑張れ」と
気味悪く優しく支援しているのが21世紀の日本ではないで
しょうか)。

=======引用終了=======

昔、姉と話をしていて、近くに住んでいたレントゲン技師
を例とし
「金を持ってないと分からない世界がある」
と言っていたので、違和感があった。

その世界にどれだけの価値があるのか。
逆に、どれだけ金があれば分かるのか。

from JMM

キレのない村上龍。

 キューバイベントが続いている間も、習慣となっ
ているので、寝る前に韓流ドラマを見ましたが、奇
妙な違和感を持ちました。
 わたしが見ているのは、韓流ドラマ特有の、女と
女のドロドロの復讐劇ですが、全身にキューバ音楽
を浴びたあとだと、「なぜこんなばかげた復讐をや
る羽目になったのだろう。人生には楽しいことがい
っぱいあるのにもっと他の解決法があるのではない
だろうか」などと思ってしまうのです。

韓流ドラマって何ですか。

JMMより

warhol

村上龍さんが相撲についてコメント。

 呼び出しと行司は
(中略)
あれだけの人数が必要なのだろうかと思ったり
しましたが、省力化とか効率化とは無縁の世界
があってもいいのかも知れません。

 相撲界の「浄化」「健全化」がいつも話題になり
ますが
(中略)
現代的な改革と変化を求めるのは簡単ではない
だろうという感慨を持ちました。

根本的に無関心な感じは変わらないが、昔に比
べて言い方がかなり丸くなった。

NEW YORK, 喧噪と静寂 from JMM

1971_4th_ave

「日本人の海外志向の減少とドメスティックな米国人」より、

 「世界に一つだけの花」という歌が数年前に日本で大ヒ
ットしたことがあった。私は、温かい歌だけれども悪く言え
ば負け犬が傷をなめあっているような歌という印象もあっ
て、あまり好みではなかったが、考えてみれば、「世界に
一つだけの花」が大ヒットしたということは、日本人が、日
本をそういう国にしたいという理想をもっているのかもしれ
ない。

from JMM

デンマーク戦について、龍さんの良いコメント。

>2点リードというのは、日本が得意とするところ
>です。日本は、同点でも、たとえ負けていても、
>まるで2点勝っているようなサッカーをします。
>それはもう伝統になっているかのようです。

from JMM

村上龍の冒頭の文章が面白い。

自分や外側の社会に決定的な変化がほ
とんどないときに、つまりルーティン
として日々が終わっていくときに、わ
たしたちは時間の密度が薄くなるよう
な感覚にとらわれるのかも知れません。

6月のサッカーW杯ももうすぐですが、
高揚感がまったくありません。いつの
ころからか、日本代表の試合を見なく
なりました。中田英寿が引退したのも
大きな理由ですが、それよりもあまり
に代表の試合がつまらないからです。
見終わって、勝ち負けを別にしてあま
りのつまらなさに愕然となって怒りが
収まらない、というのを繰り返すうち
に、自然に気にもしなくなりました。